立川談志にとって最後の地方公演となった2011年3月1日仙台市民会館大ホールの高座から
映画はスタートする。この高座の26日後、立川談志は喉頭がんの手術で声を失った。
2011年11月21日に永眠するまで、立川談志は落語の本質を熟考していた。
映画は、柄本明氏のナレーションで、天才が遺した「現代落語論」
「落語は人間の業を肯定する」といった落語論を紹介していく。
「業」については、2004年2月28日厚生年金会館での『黄金餅』の実演の一部から、
談志が目指した芸の凄みを描き出す。
そして本作は、言葉では説明が難しい「イリュージョン落語」について、
高座で披露された「イリュージョン川柳」、2005年10月12日国立演芸場の
『やかん』の高座映像で観客に訴える。
本作中盤以降、代表作でありながら実は談志本人が「嫌いな噺」であった『芝浜』について、
談志本人のインタビュー、過去の演目解説文を取り上げて、談志の抱えていた"矛盾"に着目する。
そして、最後の落語論で提唱された「江戸の風」というキーワードを紹介した上で、
2006年12月2日三鷹公会堂で演じられた『芝浜』の幕が開く。